公共交通機関を使って山に登ると、以下のようなメリットがあるので、おススメです。
環境にやさしい
公共交通機関を使うと、自然にかける負担を減らすことができます。
1人の人間が、1km移動する際に排出される二酸化炭素(CO2)の量は、以下のようになるようです(2019年度)。
CO2排出量
(1km) |
17g |
57g |
130g |
---|---|---|---|
移動手段 | 電車 | バス | 自家用車 |
※国土交通省:運輸部門における二酸化炭素排出量
マイカーを使った登山は、電車・バスを使った場合に比べて、多くのCO2が排出されるのが分かります。
試しに、横浜から大菩薩嶺に向かった場合で、公共交通機関とマイカーを比較してみましょう。
公共交通機関で、横浜駅〜塩山駅まで電車、塩山駅〜大菩薩登山口までをバスで行った場合と、マイカーで大菩薩登山口まで行った場合のCO2排出量を、上記の値で計算すると、以下のようになります。
行程 | 移動手段 | 乗車距離 | CO2排出量 | 合計CO2 |
---|---|---|---|---|
横浜駅〜塩山駅 | 電車 | 113.9km | 1,936g | 約2.5kg |
塩山駅〜大菩薩登山口 | バス | 9.1km | 519g | |
自宅〜大菩薩登山口 | 自家用車 | 121.5km | 15,795g | 約15.8kg |
公共交通機関で大菩薩嶺に登った場合のCO2排出量は、往復で約5kgとなります。一方のマイカー登山では、往復で約32kgとなり、公共交通機関を使った場合の6倍以上もCO2が排出されることになります。
CO2が少ないということは、ガソリンなどの限りある資源の節約にもつながります。
ピストン山行をせずに縦走できる
バスを使った登山の大きなメリットは、出発地点に戻ってくる必要がないことでしょう。マイカーの場合、自分の車まで戻ってこなければならないため、ピストン山行になりがちですが、バスを使えば、そんなことはありません。
電車・バスを使って山に登ると、山を越えて向こう側に抜ける楽しみがあります。ピストン山行と縦走では、1回の山行の充実度が違うと思います。
バスルートの路線図(青線)を見ると、全国を網の目のようにバスが走っているのが分かると思います。これだけバスが運行しているのであれば、山小屋やテントも駆使することで、ほとんどの山に登ることができそうです。
私の場合、公共交通機関だけを使って山に登るようにしています。私の登山マップを見ていただけると、電車とバスだけでも、案外いろんな山に登れることが分かって頂けると思います。
下山後に運転せずに済む
山行後の疲れた状態で、長時間運転して帰宅するのは、とても大変だと思います。
その点、バス、電車を使えば、すべてプロの運転手さんにおまかせです。都心に近づくまでは、大抵、座ることができますから、バスや電車に揺られながら寝るのも良いですし、車窓を眺めて、次に登る山を探しながら帰ることもできます。
また、バスや電車は車高が高く、眺めが良いのも、おすすめな点です。
田舎の道をのんびり歩ける
これは、私だけの趣向かもしれませんが、田舎の道を歩くことができるのもメリットだと思います。マイカーで登れるだけ登ってしまうと、道路歩きがとても短くなってしまいます。登山道だけ歩いて帰ってきてしまうのは、少しもったいない気がします。
しかし、バスを使えば、ある程度は自分の足で歩くことになり、自然と田舎の道を歩くことができます。田舎の道は、都会とは違い、自然に溢れていて、静かでゆったりとした時間が流れています。山の中の道は、川沿いを通っていることが多く、川の音を聞いたり、澄んだ水を眺めながら歩くことができますし、田畑や果樹園の間の道を歩くのも楽しいものです。
時間にゆとりを持った計画を立てると、大抵はバスの時刻よりも早く下山することになります。バスの本数が少ない場合、次のバスまで1時間以上待つようなこともあるでしょう。そのような時は、バス停で1時間も待つのは辛いですから、ゆっくり駅に向かって歩き出します。余裕があれば、駅まで歩いてもいいですし、途中のバス停でバスを拾って帰ることもできます。
事前にバスルートで、途中のバス停の位置を確認し、地図に書き込んでおくことで、下山後に、時計を見ながら、このバス停まで散歩してからバスに乗ろう、などと計画できます。
サイト紹介
以下に、公共交通機関を使って山に登っている方のサイトを紹介します。
cellistさんの山行記録がまとめられたサイトです。
電車とバスでは、そんなに山に登れないのでは、とお思いの方は、是非ご覧ください。工夫次第で、いろんな山に登れることが分かります。
交通手段や山行ルートなど、細かく載っていて、山行記も充実しているので、とても参考になります。「エコ登山」に対する思い入れが感じられます。